徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    薬品分析学1

科目番号33044担当教員名宗野 真和単位1単位
科目群専門必修・選択必修開講期後期 対象年次1年
授業概要
化学物質(医薬品を含む)をその性質に基づいて分析できるようになるために、物質の定性、定量などに必要な基本的知識と技能を修得する。
到達目標
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】分析化学とは:物理化学の基礎の上に、生化学、無機化学、有機化学の知識を統合して成り立っている分析化学の体系を、薬学の全体像と重ねあわせて理解する。  
【2】溶液の化学:水溶液中での物質の性質を理解するために、各種の化学平衡に関する知識と技能が、どのように必要となるかを、大まかに理解する。  
【3】酸・塩基平衡:多くの医薬品は、弱酸性または弱塩基性であり、その平衡状態が、消化管からの吸収や活性の発現に大きく影響を与える。薬学の基礎概念として重要な、酸・塩基平衡について説明できるようになることを到達目標とする。  
【4】溶液の水素イオン濃度(pH):酸あるいは塩基水溶液のpHを知ることは、分析化学においてだけでなく、薬学の様々な学問領域における測定系や反応系を設計構築するうえで重要である。そこで、種々の酸および塩基水溶液の水素イオン濃度(pH)を計算できるようになることを到達目標とする。  
【5】緩衝作用と緩衝液:人間の体液はpH緩衝作用を有しており、それぞれの部位により一定のpHに調節されてホメオスタシスを保っている。また、医薬品を溶液にて投与する際には、医薬品溶液を任意のpHに調節する必要がある。そこで、緩衝作用について具体例を挙げられ、また、代表的な緩衝液の特徴とその調整法を説明できるようになることを到達目標とする。  
【6】化学物質のpHによる分子型、イオン型の変化:多塩基酸には、共役酸・塩基対からなる多段の解離平衡が存在し、水溶液のpHに依存した平衡状態にある。このような多塩基酸が、あるpHにおいてどのような解離化学種として存在するのかを知ることは、生命現象を含むさまざまな反応系における活性本体について考察するために非常に重要である。そこで、化学物質のpHによる分子形、イオン形の変化を説明できるようになることを到達目標とする。  
【7】錯体・キレート生成平衡:分析化学で対象となる物質の中には無機元素が多く含まれており、それらの反応はイオン反応を主体としており、平衡反応である場合が多い。また、無機イオンの定性分析や、容量分析のキレート滴定には金属錯体生成反応が利用されている。そこで、無機化学の講義で身につけた錯体の知識を元に、分析化学へ応用するための、錯体・キレート平衡について説明できるようになることを到達目標とする。  
【8】沈殿平衡(溶解度と溶解度積):分析化学の領域では古来より、目的イオンの単離や除去のために、沈殿生成の手法が多用されてきた。また無機イオンの定性分析や、容量分析の沈殿滴定には沈殿の生成と溶解の原理が応用されている。そのため、無機化学の講義で身につけた各種元素の知識を元に、分析化学へ応用するための、沈殿平衡(溶解度と溶解度積)について説明できるようになることを到達目標とする。  
【9】酸化還元電位:酸化反応と還元反応は必ず対になって起こり、化合物の燃焼などを含めて、生体内エネルギーの原動力である。酸化還元反応をよりよく理解するためには、電子の移動を考えることが大切である。そこで、物理化学の講義で身につけた電気化学の知識を元に、分析化学へ応用するための、酸化還元電位について説明できるようになることを到達目標とする。  
【10】酸化還元平衡:無機イオンのみならず、有機化合物である医薬品の定性分析や、容量分析の酸化還元滴定法には酸化還元平衡が応用されている。そこで、無機化学および有機化学の講義で身につけた化合物の酸化性・還元性の知識を元に、分析化学へ応用するための、酸化還元平衡について説明できるようになることを到達目標とする。  
【11】無機イオンの定性反応:陽イオンおよび陰イオンを系統的に分離し、各イオンについて確認する系統分析や日本薬局方・定性試験(一般試験法)では、各イオンの沈殿反応、沈殿の溶解度積、錯イオンの生成と解離、酸化還元反応、キレート、マスキングなどが適当に組み合わせて行われており、各イオンの確認には特異試薬あるいは選択的試薬が用いられている。これまでに得た化学平衡と分析化学の知識を元に、代表的な無機イオンの定性反応を説明できるようになることを到達目標とする。  
【12】医薬品の確認試験:無機イオンの分析は日本薬局方・一般試験法の定性反応(確認試験)、医薬品の純度試験、その他の医薬品試験法に広く利用されている。一方、日本薬局方・確認試験および純度試験の対象となる医薬品は、無機化合物だけでなく有機化合物のものも多く含まれ、官能基の定性反応を応用したものも多用されている。そこで、無機化学、有機化学および分析化学の講義で得た知識を元に、日本薬局方収載の代表的な医薬品の確認試験を列挙し、その内容を説明できるようになることを到達目標とする。  
【13】医薬品の純度試験:日本薬局方・純度試験は医薬品中の混在物を試験するために行われるが、試験の対象となるものは、その医薬品の製造原料、製造工程から混入する機会の多い物質や人体に有害な混在物である。そこで、無機化学、有機化学および分析化学の講義で得た知識を元に、日本薬局方収載の代表的な医薬品の純度試験を列挙し、その内容を説明できるようになることを到達目標とする。  
【14】定量分析の基礎:定量分析は、資料中の目的成分の存在量を決定する分析であるが、その手段によって化学分析法(重量分析法、容量分析法)と機器分析法に大別される。また、定量分析の計算の基本量は原子量であり、実験で得られる測定値とあわせて、それらの数値を適当に取り扱うことは、正確さと精密さ、および誤差の観点から重要である。そこで定量分析の基本を理解し、医薬品分析法のバリデーションについて説明できるようになることを到達目標とする。  
【15】重量分析法:重量は、定量分析の最も基本となる量である。また、重量分析法は、定量しようとする物質の重量を量ることを目的とする分析法であり、容量を量る容量分析と対比させて重量分析と呼ぶ。重量分析法は、前処理として用いる分離操作により、揮発法、抽出法および沈殿法の3種類に大別される。日本薬局方収載の重量分析法の原理および操作法を説明できるようになることを到達目標とする。  
評価方法
筆記試験(総括的評価)、適宜にレポートと小試験などによる理解程度の把握とフィードバック(形成的評価)
教科書
「パートナー 分析化学 I 」(南江堂)
参考図書
「日本薬局方解説書」(廣川書店)
備考