徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    文化財学概論Ｂ (Introduction to Cultural Properties B)

科目番号11686担当教員名大久保　徹也単位2単位
科目群専門必修・選択必修開講期前期 対象年次3年〜
授業概要
今日、一群の歴史資料や景観、あるいは動植物資料などを「文化財」の名で括っている。「文化財」という第二次大戦後定着する法律用語であるが、これに相当する枠組みは日本近代社会の形成と並行して確立してきたものである。歴史資料その他の学術資料＝文化財というわけではない。ある種の社会的、国家的な要請のもとに一群の歴史資料その他を「文化財」あるいはそれに相当する枠組みを与えてきたのだ。本講義は「文化財」カテゴリの形成と展開を跡づけ、我々にとって「文化財」とは何であったのかを考察したい。文化財の様々な種別のうち史跡・名勝・天然記（紀）念物を中心的にとりあげ検討を進める。
　また史跡等記念物の保護制度（史蹟名勝天然紀念物保存法）の整備は、近代地方自治制度の確立と密接に関係している。文化財保護制度は、地域社会のありようとその将来構想に本来深く関わる部門である。今日このことをあらためて確認することは大切だ。
到達目標
本講義を通じて「文化財」の社会的な意義を理解しよう。やみくもに「文化財は大切」と叫ぶだけではまったく無意味だ。どのような社会情勢の中で、またどのような社会的な課題を解決する手段の一つとして文化財保護制度が組み立てられてきたのか？そうしたことを踏まえて、大きな歴史的転換点に立つ今日の文化財とその保全の意義を考察する。
知識：�（顕什睚欷酲，箸修寮莵塰＼�度の概要
　　　�∧顕什睚欷鄒�度が確立した日本近代史の基本的知識
態度：単に講義内容の暗記で満足せずに関連事項を主体的に調べ知識の領域を拡張しようとする積極的姿勢
技能：図書館蔵書そのほかの情報資源から的確な基本情報を引き出し、ノート作成を通じて自らの知識を豊富化する技術
思考：制度と社会情勢の対応など、社会的諸現象を貫く因果関係を読み取る思考能力の涵養
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】我々にとって文化財とは何か講義（一斉講義形式）文化財保護法の構成確認（整理ノート作成推奨）通算３時間内外
【2】文化財保護法　内容と性格　特に史跡・名勝・天然記念物規定講義（一斉講義形式）文化財保護法の構成確認（整理ノート作成推奨）できるだけ当日と翌日で３時間内外
【3】文化財保護法以前　史蹟名勝天然紀念物保存法の内容と性格講義（一斉講義形式）史蹟名勝天然紀念物法条文確認（整理ノート作成推奨）できるだけ当日と翌日で３時間内外
【4】史蹟名勝天然紀念物保存法の制定契機と役割　地方自治・地方改良運動と文化財講義（一斉講義形式）明治時代の基本的政治・社会動向の整理（年表作成推奨）できるだけ当日と翌日で３時間内外
【5】史蹟名勝天然紀念物保存法の展開その１　大正年間〜昭和７年の指定動向講義（一斉講義形式）大正時代の基本的政治・社会動向の整理（年表作成推奨）できるだけ当日と翌日で３時間内外
【6】国内法と植民地法講義（一斉講義形式）近代日本の植民地について基本事項確認（設定年代・経緯など）（年表作成推奨）できるだけ当日と翌日で３時間内外
【7】都道府県の役割・市町村の役割講義（一斉講義形式）地方自治制度の基本的整理
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【8】史跡と陵墓講義（一斉講義形式）陵墓制度の基本的整理
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【9】史蹟名勝天然紀念物保存法の展開その２　昭和８年以降の指定動向講義（一斉講義形式）昭和戦前期の社会・政治動向の基礎的整理（年表作成推奨）
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【10】史蹟名勝天然紀念物保存法から文化財保護法へ　戦後の地方自治制度と文化財行政講義（一斉講義形式）戦後改革の基本事項整理
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【11】文化財保護法の最初の１０年間講義（一斉講義形式）戦後復興・高度経済成長について基本的理解（年表作成推奨）
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【12】文化財保護法の展開　文化財の活用論　地域と文化財という観点講義（一斉講義形式）最近年２０年間の社会動向について基本的理解（年表作成推奨）
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【13】世界遺産と文化財講義（一斉講義形式）＋試験内容発表世界遺産条約の確認＋期末試験準備
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【14】歴史学研究と文化財講義（一斉講義形式）講義ノート点検＋期末試験準備
できるだけ当日と翌日で３時間内外
【15】まとめ―再び・我々にとって文化財とは何か　これからの地域のあり方と文化財保護行政
結果講評		講義（一斉講義形式＋試験結果講評）試験結果の点検
評価方法
単位認定は主として期末試験（論述90％）による。また講義中に適宜実施する小テストもしくはショートレポートの評点を参考（10％）にする。
上記の第１５回は試験期間中に実施
第１４回講義の次週に試験実施　第15回は試験結果講評の予定
教科書
なし
参考図書
必要資料は適宜配布する。
備考
googleclassroom 科目コード
科目No.4DIS312L
受講生はあらかじめ、文化財保護法条文（法務省HPからすべての現行法全文をダウンロードできる。）を入手し、第一回から講義時間に持参すること。・・こういう準備も必要な研鑽・自助努力である。自ら調べて準備されたい。
学則に沿って講義回数１／３以上の欠席で単位不認定となることあらためて注意！やむを得ず欠席の場合はできるだけ事前に、また事後速やかに（概ね次回講義以前）に申し出ること。事情を勘案してレポート提出を以て出席に代えるなどの措置をとることがある。
原則として月曜日午後在室。ただし調査指導などの理由により学外に出ることもあるので、質問等がある場合は事前にメールでアポをとることを奨める。
　　　　連絡先→tokubo@me.com
＊前職において12年間、考古学研究・調査および文化財保護に携わり、保護施策の検討等を重ねてきた。しかしその職務として「講義」を担当したことはない。関連した研究報告・公開講座等の経験は多いが、これは「講義」とは全く性格を異にするものである。故に厳密には本科目に係る実務経験はないということになる。