徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    日本文学演習

科目番号10068担当教員名中山 弘明単位2単位
科目群専門必修・選択選択開講期通年 対象年次2
授業概要
第一次世界大戦が日本文学に投げかけた影響を多角的に分析する。この世界規模の戦争は、日本にとって「海の彼方」のものであったとの通説がある。それを根底から見直し、大正時代という枠組みを問い直す試みを実践したい。当時の新聞・雑誌や短歌・演劇・講談・落首にまで幅広く目配りしながら、〈文学〉と〈世界戦争〉をめぐる接点を探る試みである。
後期においては「戦間期」をとりあげる。戦間期とは第一次大戦の終結から、第二次大戦の開始までを指す。この戦間期は日本の政治、社会、文化に関わる多様な問題が現れてくるきわめて重要な時代である。本演習では戦間期の文化の中に島崎藤村の『夜明け前』を浮かべ、それに関わる知識人の言説を見ていく。この二十年間に日本は戦争に向けて大きく変容していくが、その時々の『夜明け前』受容の質を分析する。
到達目標
様々な現物資料を読み込んでいく貪欲な姿勢が基本となる。大学院生として日本の近代文学を読み込んでいく資質の養成を目標とする。我々がまさに戦争の世紀に生きているという強い問題意識を常に忘れないで授業に臨むこと。
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】本講義の授業計画講義問題意識の養成
【2】第一次大戦と日本文学講義と質疑応答日本の戦争文学
【3】生田長江の論争問題講義と質疑応答生田長江の選挙論精読
【4】生田長江の戦争論講義と質疑応答生田長江の戦争論精読
【5】中澤臨川の批評言説講義と質疑応答「ベルグソン論」精読
【6】報道言語の中の戦争講義と質疑応答杉村楚人冠と大庭柯公
【7】「第三帝国」と岩野泡鳴講義と質疑応答岩野泡鳴の批評精読
【8】社会講談という戦法講義と質疑応答白柳秀湖の講談論精読
【9】坪内逍遙のデモクラシー講義と質疑応答逍遙のページェント論精読
【10】現象としてのレマルク講義と質疑応答「戦争の報告形式」精読
【11】舞台の上の世界戦争講義と質疑応答「西部戦線異状なし」の劇評精読
【12】〈赤光〉の時代講義と質疑応答『赤光』精読
【13】落首と米騒動講義と質疑応答安成二郎の短歌精読
【14】野口米次郎の翻訳言語講義と質疑応答『日本詩歌論』精読
【15】〈荒地〉のメディア論 まとめ講義と質疑応答鮎川信夫のコラム精読
【16】本講義の授業計画講義問題意識の養成
【17】戦間期と人民戦線講義と質疑応答有島武郎「クロポトキン」論精読
【18】島崎藤村の戦争証言講義と質疑応答河上肇『祖国を顧みて』精読
【19】満鉄の阿部次郎講義と質疑応答『人格主義の思潮』精読
【20】漱石山脈の地政学講義と質疑応答安倍能成「米国教育使節団への挨拶」精読
【21】長谷川天渓とラジオ講義と質疑応答『国語国字及び文学の心理研究』精読
【22】バーナード・ショー来日をめぐって講義と質疑応答「東洋に於けるバーナード・ショー」精読
【23】ブラーゲ旋風の波紋講義と質疑応答「翻訳権の問題」精読
【24】島崎藤村の『夜明け前』について講義と質疑応答『ビギナーズクラシック『夜明け前』』精読
【25】亀井勝一郎の藤村論講義と質疑応答「『夜明け前』について」精読
【26】勝本清一郎の転身講義と質疑応答勝本清一郎『夜明け前』論精読
【27】資材としての『夜明け前』講義と質疑応答『戯曲『夜明け前』』精読
【28】監獄の『夜明け前』講義と質疑応答『夜明け前』合評会精読
【29】舞台の上の『夜明け前』講義と質疑応答久保栄「演出覚え書き」精読
【30】まとめ講義と質疑応答久保栄ミザンセーヌ精読
評価方法
学期末のレポートと日常の評価を平常点として加味する。
教科書
プリントを毎時配布する
参考図書
中山 弘明著『第一次大戦の〈影〉』(新曜社)
同『戦間期の『夜明け前』』(双文社出版)※図書館に納入ずみ。
備考
上記、参考書に従って進めるので、毎時読んでおくこと。またプリントも配布するのでクリアファイルを用意されたい。