徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    総合政策学実践論　

科目番号13642担当教員名佐野　淳也単位2単位
科目群専門必修・選択選択開講期前期 対象年次3年
授業概要
総合政策学とは「社会課題を総合的に解決する」ための方法を研究する学問であり、具体的問題の構造の把握と解決のためのビジョンとミッション、そして達成方法の提案を目的とした「実学重視の学問体系」である。「政策」の対象となる問題は、政策シンクタンクや公務員が担う公共政策における政策提言や政策立案だけでなく、コンサルタントや一般企業などが守備範囲とする市場における問題解決、自治型社会に向けたNPO・住民・地方自治体が取り組む地域社会の問題、ファシリテーターが守備範囲とする組織内の問題など多岐にわたる。

本授業では、社会課題の革新的な解決策を意味する「ソーシャルイノベーション」という概念を通じて、実学重視の学問体系である総合政策学をいかに現場実践に活かしていくかを考える。ソーシャルイノベーションとは、社会課題を解決するための新しいアイデアやアプローチ、商品・サービス等の全体を指し、貧困の削減、教育の向上、健康問題への対応、環境保護、社会的不平等の解消など、幅広い分野が含まれる。その目的は「持続可能で公正な社会」を構築することにあり、その実践主体は政府、非営利組織、企業、市民社会のグループや個人など多岐に渡り、またそうした多様な主体が協力して取り組むことが重要視されている。

そうしたソーシャルイノベーションの定義や方法論を、国内外の実践例や社会起業家の取り組みから探り、またコレクティブインパクトと呼ばれる多様なセクターが協働して地域課題を解決する実践や、ソーシャルビジネスと呼ばれる社会課題解決型ビジネスについても具体的に学ぶことが本授業の目的である。また社会起業家やNPO関係者などのソーシャルイノベーターを随時授業ゲストに招き、受講生のみなさんが今後のキャリアの中で、どのようにソーシャルイノベーションを実践していけるかを考える内容とする。
到達目標
(1)知識・理解　
・総合政策学の実践論としてのソーシャルイノベーションの概念を理解する。
・ソーシャルイノベーションの分野と国内外の実践事例について学ぶ。
・社会起業やコレクティブインパクトなどの諸概念を理解する。
(2)技能・表現　
・ソーシャルイノベーションの方法論について知る。
(3)思考・判断　
・多分野で活躍するゲストや実践者の生き方に触れ、これからの自分のキャリアと働き方について考える。
(4)関心・意欲・態度など
・受講生どうしで対話し、課題について深めたり学び合うことのできるコミュニケーション能力や主体的な学習態度を身につける。
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】授業オリエンテーション：
「あなたが生きているうちに解決したい社会課題」はなに？		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【2】ソーシャルイノベーションとは何だろう？
〜「社会課題を総合的に解決」する革新的なアプローチ		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【3】ソーシャルイノベーションの多様な分野と実践例
〜福祉／教育／環境／まちづくり／文化／国際協力		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【4】ソーシャルイノベーションの方法と多様な主体（プレイヤー）
〜企業／NPO／行政／財団／教育機関／メディア		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【5】世界のソーシャルイノベーション実践
〜グラミン銀行／パタゴニア／アショカ財団		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度
【6】日本のソーシャルイノベーション実践
〜フローレンス／マザーハウス／ビッグイシュー		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【7】グループワーク
課題図書レポート発表＆共有		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【8】社会起業家とソーシャルビジネス
?社会課題解決型ビジネスと事業型NPO		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【9】社会的インパクトを生み出すロジック・モデル
?誰をどのように笑顔にするか？		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【10】地域共創とコレクティブインパクト
?マルチセクター協働による地域課題解決		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【11】ソーシャルイノベーション事例分析��
?子育て／教育分野		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【12】ソーシャルイノベーション事例分析��
?地域福祉・まちづくり分野		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【13】ソーシャルイノベーション事例分析��
?創造的人口減少に向けた地域共創エコシステム		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【14】グループワーク
ソーシャルイノベーション事例分析レポート発表＆共有		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
【15】全体まとめ：SDGｓとソーシャルイノベーション
〜「誰も取り残さない」世界に向けて		講義とグループワーク授業の予習・復習（概ね60分程度）
評価方法
�ー�業からの学びと変容（50%）：各回の授業に主体的に参加し、自ら能動的に学び知識や能力を高めることが出来たかどうかを、毎授業後の感想ふりかえり（リフレクション課題）を通して評価
��課題図書レポート（20%）：課題図書の中から興味・関心のあるものを１冊選び、精読した上で感想・考察を記述したレポート作成（2000字以上）
��ソーシャルイノベーション事例分析レポート（30%）：興味・関心のあるNPO活動や社会的企業などのソーシャル・イノベーション事例を探し、その活動への参加・ボランティアや訪問・取材などを通じて事例について分析して掘り下げ、そこからの学びや得られた知見について論述（3000字以上）
教科書
なし
参考図書
「チェンジメーカー〜社会起業家が世の中を変える」渡邊奈々（日経BP社）
「社会起業家の教科書」大島七々三（中経出版）
「社会貢献でメシを食う」竹井善昭／米倉誠一郎（ダイヤモンド社）
「社会起業家になりたいと思ったら読む本」デービッド・ボーンステイン／スーザン・デイヴィス（ダイヤモンド社）
「誰が世界を変えるのか〜ソーシャルイノベーションはここから始まる」フランシス・ウェストリー／ブレンダ・ツィンマーマン（英治出版）
「社会変革のためのシステム思考実践ガイド〜共に解決策を見出し、コレクティブ・インパクトを創造する」デイヴィッド・ピーター・ストロー／小田理一郎（英治出版）
「あなたのキャリアのつくり方 〜ＮＰＯを手がかりに」浦坂純子（筑摩書房）
「「社会を変える」を仕事にする〜社会起業家という生き方」駒崎弘樹（筑摩書房）
「20代からはじめる社会貢献〜400社が支援した「社会起業」とは」小暮真久（PHP研究所）
「貧困のない世界を創る〜ソーシャルビジネスと新しい資本主義」モハマド・ユヌス（早川書房）
「和える〜伝統産業を子どもにつなぐ 25歳女性起業家」矢島里佳（早川書房）
「裸でも生きる〜25歳女性起業家の号泣戦記」山口絵理子（講談社）
「若者が社会を動かすために」税所篤快（ベスト新書）
「平和をつくるを仕事にする」鬼丸昌也（筑摩書房）
「ビッグイシューの挑戦」佐野章二（講談社）
備考
科目コード：8AGS202L
＊担当教員（佐野淳也）は、これまで環境・国際協力・福祉・まちづくりなど幅広い分野でNPO・市民活動やソーシャルベンチャー（社会的企業）を実践してきました。本授業ではこうした実務経験をもとに、こうしたソーシャルイノベーション実践がどのように社会にインパクト（変革）を与えるのかについて、わかりやすく解説します。

＊さらにゲストスピーカーとして実際にNPO活動や社会支援を行っている実践者を招聘します。彼らや彼女たちの実践事例を通して、受講生のみなさんがこれからの社会貢献型キャリアのあり方についても、考えて機会にしたいと考えています。

＊この授業は「対話型の深い学び」であるアクティブ・ラーニング形式を多く取り入れます。受講生どうしでレクチャー内容に関する感想を語り合ったり、ゲストへの質問を考えるなどの「対話」の時間を極力授業に取り入れます。また課題図書などのレポート内容を受講生どうしでシェアしあうグループワークも行います。その意義を理解し、受け身ではなく能動的な態度で積極的に他の学生とも対話し、コミュニケーションを行う姿勢を持つみなさんの受講を希望します。