(授業目的・方針 等)この講義の目的は、基本的な社会学の考え方を論ずることである。社会学は近代社会の成立とともに始まった比較的新しい学問であるが、同じ近代以後成立した経済学や政治学とは異なり、「社会」全般を対象とする学問である。経済学は「経済現象」を通してのみ人間の経済社会を分析し、政治学は「政治現象」を通してのみ政治社会を分析するのに対し、社会学は経済、政治現象にとどまらず、家族、教育、芸術、階級・階層、性の問題など人間の生の営みをあらゆる角度から考察する。その意味で、社会学の創設者の一人であるデュルケムが目指したように、社会学は人文科学(文学、哲学など)、社会科学(政治学、経済学、法学など)などを統一する学問であるといえる。こうした性格を持つ社会学の基本的な考え方を、本講義では解説する。むろん社会学にも学説史はあるが、学説史の解説は最小限にとどめ、人間社会にある具体的な現象を通じて、社会学とは何かを論じたい。また、「社会学とは何か」、「社会とは何か」を問うことは、同時に私たちが何の疑問もなく生きている「日常の生活の営み」を問うことでもある。この講義で、この私たちの「日常」が、「なぜ」、「どのように」(たとえば、歴史的に)成り立っているかを考える機会にしたいと考えている。尚、講義を受けるにあたって事前の予備知識は必要とされない。 |