徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    社会学A

科目番号34546担当教員名榊原 達哉単位2単位
科目群一般必修・選択選択開講期前期 対象年次1年
授業概要
社会学は、読んで字のごとく「社会」を分析する学問である。何かよく分からない定義である。物理学、「物」の理(自然法則)を考える学問。法学、法律を考える学問。どことなく納得のいく定義である。しかし、社会学、「社会」を考える学問……。分かったようで分からない定義である。では、「社会」を考える学問である社会学の定義を二点、具体的に考えてみよう。第一に、社会学は、物理、科学、生物などの自然科学と同様、近代とともに生まれた学問である。近代とともに生まれたということがどういうことかと言えば、社会の近代化によって生まれた「近代社会」を分析するために社会学が生まれたということだ。何か禅問答か、トートロージー(同語反復)のような話だが、そういう理屈になるのである。社会の近代化は、社会の仕組み、つまり政治形態(身分制から民主制へ)や経済における生産量(封建制から資本制へ)を変えただけではなく、人間の伝統的な習俗・習慣・家族関係・倫理観・感受性など、人間の根本を劇的に変容させた。そのためこの変化を受け入れ、変化の中で生きるために、社会学は生み出されたのである。第二に、社会学は「社会」を学問するのであるから、「社会」とは何かを考えれば、少しは社会学の定義が明らかになるはずである。「社会」とは人間の集まりである。そして、人間は法的主体であったり、経済的主体であったり、性的主体であったりする。具体的に言えば、一人の人間は、父親であったり、弟であったり、サラリーマンであったり、夫だったり、市民だったり、国民だったりする。要するに、人間は社会の中で、人間の関係の中で、様々な側面を持っており、一面的な存在として分析することはできないのである。人間は公的生活、私的生活の中では多様性そのものなのである。こうした多様性たる人間が集まったものが「社会」なのである。物理学は自然法則の探求を目指し、法学は法律を研究する。しかし社会学は、多様性を持つ人間、そして人間が集まって織りなす社会を分析する以上、あらゆる観点から人間と社会を分析しなければならない。したがって社会学は、人間と社会に関することであれば何でも分析する総合的な学問なのである。講義では、こうした社会学的思考に慣れるために、まず幾人かの社会学者の学説を取り上げることで抽象的に社会学に考え、その後に様々な具体的な社会現象の中から社会学について、社会について考えてみたいと思っている。
到達目標
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】社会学とは何か?−イントロダクション  
【2】理論社会学編、行為の理解学(1) 近代社会の分析学としての社会学−フランス編  
【3】行為の理解学(2) 近代社会の分析学としての社会学−ドイツ編  
【4】社会学の実際、都市の社会学(1)近代化と都市化  
【5】都市の社会学(2)現代社会における都市の「郊外化」  
【6】家族の社会学(1)近代化と「近代家族」の成立  
【7】家族の社会学(2)現代社会における「家族」の変容  
【8】犯罪の社会学−「正常」と「異常」との「あいだ」  
【9】教育の社会学−学歴と社会  
【10】医療の社会学−高度先端医療と「生」の管理  
【11】戦争の社会学−近現代における「戦争なるものの」の変容  
【12】公共性の社会学−自由と公共性  
【13】ジェンダーの社会学−性差を越えて  
【14】地球生態系の社会学−地球温暖化現象と人口問題  
【15】まとめ  
評価方法
学期末のレポートによって評価する。
教科書
なし。
参考図書
片桐新自ほか編著 『新訂第一版基礎社会学』 世界思想社、2006年。他の参考文献は、適時教室で指示する。
備考
講義の進度によって若干の変更はありうる。