徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    生命科学特別講義 − 学習・記憶の神経生物学

科目番号00079担当教員名北村 美一郎単位1単位
科目群専門必修・選択選択開講期前期 対象年次4年
授業概要
【授業概要】学習記憶に関する神経生物学について学習する。
【一般目標】薬学は、生物学、有機化学、物理化学、情報科学等の多くの基礎科学を水平方向へ総合化した総合科学である。一方、薬学には垂直方向の総合性もある。薬学は、ヒト個体の病気からの回復さらには健康増進を目的とするが、医薬品の多くは低分子有機化合物であり、また、医薬品の標的の多くもタンパク質分子である。このように分子というミクロなレベルから、ヒト個体やヒトの集団を対象とするマクロなレベルまでを含め、異なる階層を総合化して成り立つ総合応用科学が薬学である。従って、異なる階層の学問的成果を垂直方向に総合化できる力を養成することが、薬学の理解を深めるために重要である。神経科学は、垂直方向の総合化が重要な基礎科学であり、現在、最も目覚しい進歩を遂げつつある学問分野である。神経科学の幅広い研究領域の中でも、特に学習記憶の仕組みを解明することは急務であり、薬学にとっても著しい貢献が求められる重要な研究分野である。本「生命科学特別講 − 学習・記憶の神経生物学」では、まずは学習記憶の神経生物学的な基礎知識を学び、さらには学習記憶の変容に由来する認知症、薬物依存などの病態、発症機構の解明やその治療薬の開発における薬学の重要性を学習する。また臨床現場で精神神経疾患の治療が実際にどのように進められているかも概観する。これらによって、学習記憶機構に関する神経科学の基礎から応用までを系統的に理解を深めることを目的とする。
到達目標
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】序論 「学習・記憶の神経生物学」について、その研究の歴史を概説できる。学習や記憶の分類を説明できる。 (桐野 豊)  
【2】海馬と神経可塑性 ヒトを含む高等生物の「学習・記憶」における重要な神経回路の代表として、海馬の神経回路について説明できる。その神経機構としての神経可塑性について説明できる。さらに他の代表的な神経回路、特に小脳における神経回路、神経可塑性について説明できる。 (冨永貴志)  
【3】神経可塑性のシナプス機構 [C8(3)1-2] シナプス伝達の調節機構を説明できる。「学習・記憶」の基礎である神経可塑性のシナプス機構について、具体的な分子機構をプレシナプス機構、ポストシナプス機構に分けて具体的な分子名を挙げて説明できる。 (得丸博史)  
【4】記憶の遺伝学 [C9(6)3-3] 特定の遺伝子を導入した動物、あるいは特定の遺伝子を破壊した動物の作成法を概説できる。 (松尾亮太)  
【5】側頭葉と陳述記憶、線条体と手続き記憶、扁桃体と情動 陳述記憶について説明でき、側頭葉との関係について概説できる。手続き記憶について説明でき、線条体との関係について概説できる。情動に関する複数の仮説について説明でき、扁桃体との関係について概説できる。 (伊藤悦朗、北村美一郎)  
【6】側頭葉と陳述記憶、線条体と手続き記憶、扁桃体と情動 陳述記憶について説明でき、側頭葉との関係について概説できる。手続き記憶について説明でき、線条体との関係について概説できる。情動に関する複数の仮説について説明でき、扁桃体との関係について概説できる。 (伊藤悦朗、北村美一郎)  
【7】嗜癖の神経機構、報酬系の学習記憶(薬物依存・乱用) [B(1)4-2,C13(1)1-8,C14(4)1-4] 麻薬、大麻、覚せい剤などを乱用することによる健康への影響を概説できる。薬物依存性について具体例を挙げて説明できる。アヘン、コカイン、マリファナ、ニコチンなどの依存性形成薬物により引き起される神経伝達の変容(シナプス可塑性変化)について説明できる。中脳の腹側被蓋野から大脳皮質に投射するドパミン神経系の報酬系としての役割について説明できる。 (小西史朗)  
【8】嗜癖の神経機構、報酬系の学習記憶(薬物依存・乱用) [B(1)4-2,C13(1)1-8,C14(4)1-4] 麻薬、大麻、覚せい剤などを乱用することによる健康への影響を概説できる。薬物依存性について具体例を挙げて説明できる。アヘン、コカイン、マリファナ、ニコチンなどの依存性形成薬物により引き起される神経伝達の変容(シナプス可塑性変化)について説明できる。中脳の腹側被蓋野から大脳皮質に投射するドパミン神経系の報酬系としての役割について説明できる。 (小西史朗)  
【9】加齢に伴う記憶障害とその病理 [C13(2)1-4,C14(3)6-5] 代表的な中枢神経疾患(アルツハイマー病など)の治療薬を挙げ、その薬理作用、機序、主な副作用について説明できる。アルツハイマー病の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明できる。 (宋 時栄)  
【10】精神疾患の病態、治療の神経科学的基礎 [C13(2)1-5,C14(4)1-1,2,3] 代表的な精神疾患(統合失調症、うつ病など)の治療薬を挙げ、その薬理作用、機序、主な副作用について説明できる。代表的な精神疾患を挙げることができる。統合失調症の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明できる。うつ病、躁うつ病の病態生理、適切な治療薬、およびその使用上の注意について説明できる。 (宋 時栄)  
評価方法
課題レポート(90%)、出席および受講態度(10%)により総合的に評価する。
教科書
参考図書
「Memory: From Mind to Molecules 2nd ed.」、Larry R. Squire and Eric R. Kandel、Roberts & Company
備考
この科目は、伊藤悦朗、桐野 豊、小西史朗、宋 時栄、得丸博史、冨永貴志、北村美一郎、松尾亮太の8名で担当する。