徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    薬物動態学（Pharmacokinetics）

科目番号10829担当教員名加藤　善久単位1.5単位
科目群専門必修・選択必修開講期前期 対象年次4年
授業概要
薬物の体内動態（吸収、分布、代謝、排泄）は、薬物の物理化学的性質と、薬物と生体との相互作用によって決まる。また、薬物の薬理作用（薬効）は、薬物の活性の強さと薬物の体内動態に依存している。従って、薬物の薬効を最も適切に発揮させるためには、その体内動態を把握する必要がある。本講義では、生体に投与された薬物の生体内動態について、薬物速度論的立場から、投与後の薬物の血漿中濃度、消失半減期、代謝速度、排泄速度、体内蓄積量などを講述する。また、主に、ファーマコキネティクス(Pharmacokinetics)、生理学的速度論、コンパートメントモデル、臨床薬物動態について講義し、さらに最新の知見を紹介する。
到達目標
薬物動態の理論的解析ならびに投与設計に関する基本的事項を修得する。薬物の生体内運命を理解し、個々の患者の投与設計ができるようになるために、薬物の体内動態およびその解析に関する基本的知識を修得し、それらを応用する基本的技能を身につける。吸収、分布、代謝、排泄の各過程および薬物動態学的相互作用に関する基本的事項を修得する。知識（理解）、技能（表現）
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】4/10
ガイダンス、総論
薬物動態の解析：薬物動態に関わる代表的なパラメーター
到達目標：線形コンパートメントモデルと、関連する薬物動態パラメータ（全身クリアランス、分布容積、消失半減期、生物学的利用能など）の概念を説明できる。知識（理解）E4(2)��1
線形１−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる（急速静注・経口投与［単回および反復投与］、定速静注）。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��2		講義と質疑応答予習：教科書 1) p125〜139を熟読する。
復習：教科書 1) p131、138、139の問題を解く。
宿題：課題
【2】4/17
生物学的利用能、生物学的同等性
到達目標：線形コンパートメントモデルと、関連する薬物動態パラメータ（全身クリアランス、分布容積、消失半減期、生物学的利用能など）の概念を説明できる。知識（理解）E4(2)��1
線形１−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる（急速静注・経口投与［単回および反復投与］、定速静注）。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��2		講義と質疑応答予習：教科書 1) p126〜139を熟読する。
復習：教科書 1) p131、138、139の問題を解く。
宿題：課題
【3】4/24
線形1-コンパートメントモデル(1)：静脈内投与、薬物動態パラメーターの算出
到達目標：線形コンパートメントモデルと、関連する薬物動態パラメータ（全身クリアランス、分布容積、消失半減期、生物学的利用能など）の概念を説明できる。知識（理解）E4(2)��1
線形１−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる（急速静注・経口投与［単回および反復投与］、定速静注）。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��2		講義と質疑応答予習：教科書 1) p126〜139を熟読する。
復習：教科書 1) p131、138、139の問題を解く。
宿題：課題
【4】5/1
線形1-コンパートメントモデル(2)：経口投与を線形1-コンパートメントモデルで解析、薬物動態パラメーターの算出
到達目標：線形コンパートメントモデルと、関連する薬物動態パラメータ（全身クリアランス、分布容積、消失半減期、生物学的利用能など）の概念を説明できる。知識（理解）E4(2)��1
線形１−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる（急速静注・経口投与［単回および反復投与］、定速静注）。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��2		講義と質疑応答予習：教科書 1) p126〜139を熟読する。
復習：教科書 1) p131、138、139の問題を解く。
宿題：課題
【5】5/8
線形2-コンパートメントモデルの解析法
到達目標：2-コンパートメントモデルに基づいた薬物速度論解析ができる。知識（理解）、技能（表現）IE4��2
非線形最小二乗法を用いた速度論パラメータの算出ができる。知識（理解）、技能（表現）IE4��3		講義と質疑応答予習：参考書 a) p356〜359を熟読する。
復習：参考書 a) p359の問題を解く。
宿題：課題
【6】5/15
点滴静注：点滴静注、反復静脈内投与
到達目標：線形１−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる（急速静注・経口投与［単回および反復投与］、定速静注）。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��2		講義と質疑応答予習：教科書 1) p132〜139を読む。
復習：教科書 1) p138、139の問題を解く。
宿題：課題
【7】5/22
繰り返し投与：反復注射、反復経口投与
到達目標：線形１−コンパートメントモデルに基づいた解析ができる（急速静注・経口投与［単回および反復投与］、定速静注）。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��2		講義と質疑応答予習：教科書 1) p132〜139を熟読する。
復習：教科書 1) p138、139の問題を解く。
宿題：課題
【8】5/29

線形コンパートメントモデルと非線形コンパートメントモデル
到達目標：体内動態が非線形性を示す薬物の例を挙げ、非線形モデルに基づいた解析ができる。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��3		講義と質疑応答予習：教科書 1) p140〜146を熟読する。
復習：教科書 1) p145、146の問題を解く。
宿題：課題
【9】6/5
モーメント解析・生理学的薬物動態学：モデルによらない薬物動態の解析法
到達目標：モーメント解析の意味と、関連するパラメータの計算法について説明できる。知識（理解）E4(2)��4
生理学的薬物速度論モデルに基づく薬物濃度推移のシミュレーションができる。知識（理解）、技能（表現）IE4��5　		講義と質疑応答予習：教科書 1) p147〜149、参考書 a) p378〜379を熟読する。
復習：教科書 1) p148の問題を解く。
宿題：課題
【10】6/12
薬物の消失・クリアランス：全身クリアランス、肝および腎クリアランス
到達目標：組織クリアランス（肝、腎）および固有クリアランスの意味と、それらの関係について、数式を使って説明できる。知識（理解）E4(2)��5
腎クリアランスと、糸球体ろ過、分泌、再吸収の関係を定量的に説明できる。知識（理解）E4(1)��2
薬物動態学−薬力学解析（PK-PD 解析）について概説できる。知識（理解）E4(2)��6		講義と質疑応答予習：教科書 1) p109〜113、150〜158を熟読する。
復習：教科書 1) p113、154、158〜161の問題を解く。
宿題：課題
【11】6/19

治療的薬物モニタリング(TDM)：治療的薬物モニタリング(TDM)の意義と実践
到達目標：治療薬物モニタリング（TDM）の意義を説明し、TDM が有効な薬物を列挙できる。知識（理解）E4(2)��1
TDM を行う際の採血ポイント、試料の取り扱い、測定法について説明できる。知識（理解）E4(2)��2		講義と質疑応答予習：教科書 1) p162〜169を熟読する。
復習：教科書 1) p166、169の問題を解く。
宿題：課題
【12】6/26

薬物投与計画：至適血中濃度を維持するための投与計画、モデルデータを用いた投与計画のシミュレート
到達目標：薬物動態パラメータを用いて患者ごとの薬物投与設計ができる。知識（理解）、技能（表現）E4(2)��3
ポピュレーションファーマコキネティクスの概念と応用について概説できる。知識（理解）E4(2)��4
ベイジアン法やポピュレーションファーマコキネティクスの理論に基づいた投与設計ができる。知識（理解）、技能（表現）IE4��4		講義と質疑応答予習：教科書 1) p170〜181を熟読する。教科書 2) p267〜279を熟読する。
復習：教科書 1) p174、175、180、181、教科書 2) p273、277の問題を解く。
宿題：課題
【13】7/3
個別化医療(1)：遺伝的素因、年齢的素因、妊娠、授乳期
到達目標：薬物動態に影響する代表的な遺伝的素因（薬物代謝酵素・トランスポーターの遺伝子変異など）について、例を挙げて説明できる。知識（理解）E3(3)��2
低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児における薬物動態と、薬物治療で注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��1
高齢者における薬物動態と、薬物治療で注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��2
妊娠・授乳期における薬物動態と、生殖・妊娠・授乳期の薬物治療で注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��2		講義と質疑応答予習：教科書 2) p215〜219、224〜234、255〜261を熟読する。
宿題：教科書 2) p219、230、234〜236、261の問題を解く。
課題
【14】7/10
個別化医療(2)：年齢的素因、妊娠、授乳期、栄養状態
到達目標：低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児における薬物動態と、薬物治療で注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��1
高齢者における薬物動態と、薬物治療で注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��2
妊娠・授乳期における薬物動態と、生殖・妊娠・授乳期の薬物治療で注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��2
栄養状態の異なる患者（肥満、低アルブミン血症、腹水など）における薬物動態と、薬物治療で注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��3		講義と質疑応答予習：教科書 2) p224〜234、255〜266を熟読する。
宿題：教科書 2) p230、234〜236、261、265、266の問題を解く。
課題
【15】7/17
個別化医療(3)：腎機能低下、肝機能低下、心臓疾患
到達目標：腎疾患・腎機能低下時における薬物動態と、薬物治療・投与設計において注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��1
肝疾患・肝機能低下時における薬物動態と、薬物治療・投与設計において注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��2
心臓疾患を伴った患者における薬物動態と、薬物治療・投与設計において注意すべき点を説明できる。知識（理解）E3(3)��3		講義と質疑応答予習：教科書 2) p237〜251を熟読する。
宿題：教科書 2) p241、245、249〜251の問題を解く。
課題
評価方法
1) 授業への取り組み態度等（10%）、2) 定期試験（80%）及び3) 課題レポート(評価を行い学生に毎回フィートバックする)・小テスト等（10%）により総合的に評価する。ただし、1)、2)、3)の得点がそれぞれの配点の60%以上であること。出席は必須である。
教科書
1) 医療薬学VI.薬の生体内運命、日本薬学会編、東京化学同人、ISBN-978-4-8079-1717-4
2) 医療薬学�后ヌ�物治療に役立つ情報、日本薬学会 編、東京化学同人、ISBN-978-4-8079-1716-7
参考図書
a)コアカリ対応 薬剤学 第3版、川島 嘉明、半田 哲郎、米谷 芳枝、山本 いづみ、丸善出版、ISBN-978-4-621-08442-7
パートナー薬剤学 改訂第3版、原島 秀吉、伊藤 智夫、寺田 勝英 編、南江堂、ISBN-978-4-524-40337-0
入門薬物動態学、金尾 義治、京都廣川書店、ISBN-978-4-901789-01-1
重要公式を用いたわかりやすい薬剤学計算問題の解き方　薬物動態学編、中島恵美、ネオメディカル、ISBN-4-9903263-1-8
徹底解説 薬物動態の数学―微積分と対数、非線形―［第2版］、九川文彦編集、廣川書店、ISBN-978-4-567-49651-3
基礎からの薬物動態学、池田敏彦、弓田長彦、みみずく舎、ISBN-978-4-86399-314-3
薬と疾病 2B 薬の効くプロセス（2）薬剤 第2版、日本薬学会 編、東京化学同人、ISBN-978-4-8079-1476-0
薬物動態学、西垣 隆一郎、丸善出版、ISBN-978-4-621-04472-8
薬物動態学−基礎と応用− 改訂2版、高田 寛治、じほう、ISBN-978-4-8407-2946-8
新薬剤学 改訂第3版、原島 秀吉 編集、南江堂、ISBN-978-4-524-40286-1
広義薬物動態学、掛見 正郎、岩永 一範、京都廣川書店、ISBN-978-4-901789-23-3
NEWパワーブック生物薬剤学 第2版、金尾 義治、森本 一洋 他編、廣川書店、ISBN- 978-4-567-48087-1
薬と疾病�� 薬物治療（2）および薬物治療に役立つ情報 第2版、日本薬学会 編、東京化学同人、ISBN-978-4-8079-1626-9
マッピングナビゲーション薬物速度論演習、櫻井栄一、京都廣川書店、ISBN-978-4-901789-72-1
薬物動態学 標準問題演習、鴫原淳、山内理恵、京都廣川書店、ISBN-978-4-906992-56-0
演習で理解する生物薬剤学、山本 昌、坂根 稔康、廣川書店、ISBN-978-4-567-48410-7
CBT対策と演習 薬剤学１-薬物動態学-、薬学教育研究会 編、廣川書店、ISBN-978-4-567-71220-0
領域別既出問題集〔改訂8版〕6.薬剤 第98〜104回薬剤師国家試験、薬学ゼミナール、ISBN-978-4-909120-34-2　　2020年4月刊行版
備考
【2020-薬物動態学クラス コード 7q6cp7h】
【受講心得】
　薬剤学1、薬剤学2、製剤学1、製剤学2及び医薬品安全性学の内容を十分に理解していること。
必ず予習、復習を行なうこと。ホームワークを必ず提出すること。締め切り：授業の3日後の9時00分。

【オフィス・アワー】
　金曜日16:25〜17:55、それ以外にも適宜、香川薬学部研究棟8階 薬物動態学講座

【備考】　
　近年、医薬分業の急速な進展とともに、高度な薬剤師業務を担当できる「医療人として質の高い薬剤師」が社会的ニーズになっており、こうした社会の要請に応えうる最近の臨床薬物動態例についても修得できるように講述したい。
なお、1〜9は加藤善久、10〜15は跡部一孝が担当する。

【DP配分】
DP1 DP2 DP3 DP4 DP5 DP6 DP7
0 0 0 1.5 0 0 0
香川薬学部の7つのディプロマポリシー(DP)への寄与の度合いに基づき、当該科目の単位数を按分（DP1〜7の合計が担当科目の単位数となる）。