徳島文理大学

Webシラバスシステム

TOP 戻る
徳島文理大学短期大学部

【科目名】    薬剤学1

科目番号00025担当教員名加藤 善久単位1.5単位
科目群専門必修・選択必修開講期前期 対象年次3
授業概要
【授業概要】薬物は生体に投与された後、吸収されて、血管系を血流に乗って運搬され、毛細血管の細孔または内皮細胞を透過して様々な臓器や組織の細胞間隙に移行する。そして、細胞内に取り込まれて、その一部が作用発現部位に到達し、薬効を発揮する。その後、ほとんどの薬物は肝臓の肝実質細胞や腎臓の糸球体、尿細管に移行して、代謝、排泄され、体内から消失する。このような薬物の生体内動態の過程(吸収、分布、代謝、排泄)は、薬物の薬効や副作用の発現および持続性を理解する上で重要となる。本講義では、医療および医薬品に関与する薬剤学的知識を修得することを目的とし、生物薬剤学を中心に講述し、さらに最近の知見を紹介する。
【到達目標】作用部位に達した薬物の量と作用により薬効が決まることを理解するために、薬物の生体内における動きと作用に関する基本的知識を修得する。薬物の生体内運命を理解するために、吸収、分布、代謝、排泄の過程に関する基本的知識を修得する。
到達目標
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】薬の運命:薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)と薬効発現の関わり C13(1)2-1 薬物の体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)と薬効発現の関わりについて説明できる。講義 
【2】薬物の投与方法(剤形、投与経路)とその意義、経口投与された製剤が吸収されるまでに受ける変化C13(1)2-2 薬物の代表的な投与方法(剤形、投与経路)を列挙し、その意義を説明できる。C13(1)2-3 経口投与された製剤が吸収されるまでに受ける変化(崩壊、分散、溶解など)を説明できる。  
【3】薬物の生体内分布における循環系の重要性、生体内の薬物の主要な排泄経路 C13(1)2-4 薬物の生体内分布における循環系の重要性を説明できる。C13(1)2-5 生体内の薬物の主要な排泄経路を、例を挙げて説明できる。  
【4】薬物の臓器への到達と消失−吸収:薬物の吸収部位 C13(4)1-1 薬物の主な吸収部位を列挙できる。  
【5】消化管の構造、機能と薬物吸収の関係、受動拡散(単純拡散) C13(4)1-2 消化管の構造、機能と薬物吸収の関係を説明できる。C13(4)1-3 受動拡散(単純拡散)、促進拡散の特徴を説明できる。  
【6】促進拡散の特徴、能動輸送の特徴 C13(4)1-3 受動拡散(単純拡散)、促進拡散の特徴を説明できる。C13(4)1-4 能動輸送の特徴を説明できる。  
【7】非経口投与後の薬物吸収、薬物の吸収に影響する因子 C13(4)1-5 非経口投与後の薬物吸収について部位別に説明できる。C13(4)1-6 薬物の吸収に影響する因子を列挙し説明できる。  
【8】分布:薬物が生体内に取り込まれた後、組織間で濃度差が生じる要因 C13(4)2-1 薬物が生体内に取り込まれた後、組織間で濃度差が生じる要因を説明できる。  
【9】薬物の脳および胎児への移行、それらの機構と血液-脳関門および血液-胎盤関門の意義 C13(4)2-2 薬物の脳への移行について、その機構と血液・脳関門の意義を説明できる。C13(4)2-3 薬物の胎児への移行について、その機構と血液・胎盤関門の意義を説明できる。  
【10】薬物の体液中での存在状態(血漿タンパク結合など)と組織への移行との関連性  C13(4)2-4 薬物の体液中での存在状態(血漿タンパク結合など)を組織への移行と関連づけて説明できる。  
【11】薬物分布の変動要因(血流量、タンパク結合性、分布容積など)、分布容積が著しく大きい薬物 C13(4)2-5 薬物分布の変動要因(血流量、タンパク結合性、分布容積など)について説明できる。C13(4)2-6 分布容積が著しく大きい代表的な薬物を列挙できる。  
【12】薬物のタンパク結合能の測定 代表的な薬物のタンパク結合能を測定できる。  
【13】代謝:薬物分子の体内での化学的変化とそれが起こる部位 C13(4)3-1 薬物分子の体内での化学的変化とそれが起こる部位を列挙して説明できる。  
【14】薬物代謝が薬効に及ぼす影響 C13(4)3-2 薬物代謝が薬効に及ぼす影響について説明できる。  
【15】薬物動態および薬効に起因する相互作用の代表的な例、それらの回避のための方法 C13(4)5-1 薬物動態に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。C13(4)5-2 薬効に起因する相互作用の代表的な例を挙げ、回避のための方法を説明できる。  
評価方法
出席(必須)、授業への取り組み態度等(10%)、定期試験(80%)及び課題レポート・小テスト等(10%)により総合的に評価する。ただし、1)、2)、3)の得点がそれぞれの配点の60%以上であること。
教科書
コアカリ対応 薬剤学 第3版、川島 嘉明、半田 哲郎、米谷 芳枝、山本 いづみ、丸善出版、ISBN-978-4-621-08442-7
参考図書
新薬剤学 改訂第3版、原島 秀吉 編集、南江堂、ISBN-978-4-524-40286-1、
薬と疾病 2B 薬の効くプロセス(2)薬剤 第2版、日本薬学会 編、東京化学同人、ISBN-978-4-8079-1476-0、
NEWパワーブック生物薬剤学 第2版、金尾 義治、森本 一洋 他編、廣川書店、ISBN- 978-4-567-48087-1、
パートナー薬剤学 改訂第2版、寺田 勝英、伊藤 智夫 編、南江堂、ISBN-978-4-524-40289-2、
広義薬物動態学、掛見 正郎、岩永 一範、京都廣川書店、ISBN-978-4-901789-23-3、
わかりやすい生物薬剤学 第4版、辻 彰 編集、廣川書店、ISBN-978-4-567-48233-2、
生物薬剤学 改訂第2版、林 正弘、谷川原 祐介、南江堂、ISBN-978-4-524-40216-8、
演習で理解する生物薬剤学、山本 昌、坂根 稔康、廣川書店、ISBN-978-4-567-48410-7、
CBT対策と演習 薬剤学1-薬物動態学-、薬学教育研究会 編、廣川書店、ISBN-978-4-567-71220-0、
最新薬剤学 第9版、林 正弘、川島 嘉明、廣川書店、ISBN-978-4-567-48025-3
備考
履修する上での必要な条件:機能形態学1、機能形態学2、薬理学A及び衛生化学1の内容を十分に理解していること。
必ず予習、復習を行なうこと。ホームワークを必ず提出すること。締め切り:授業の3日後の9時00分。
最近明らかにされている薬物の生体内動態に関与するトランスポーターや薬物代謝酵素、また、微量で活性の高い抗がん剤やバイオ医薬品などの臨床応用例などについても修得できるように講述したい。