徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    日本文学講読Ｂ��(Japanese Literature　B��)

科目番号11573担当教員名上田　穂積単位2単位
科目群専門必修・選択選択開講期前期 対象年次2
授業概要
(授業目的・方針 等)

日本近代文学の歴史と諸相について、１９１０年代から２０年代にかけての、所謂「大正の文学」について考察する。単に近代文学の流れをなぞるのではなく、その歴史的経緯や背景となった時代状況や文化的状況を可能な限り再現し、過去の文学遺産を読むことの愉しさを学生の目の前で実践することを目的にしている。いうなら、この時間を知識と体験の〈場〉としてみたい。
到達目標
この講義を通して、たっせいする目標は以下のとおりである。

知識　日本の近代とは何かを理解する。
態度　いまーこの時代を生きていくことの意味とその生き方のヒントを身に付けることが出来る。
技能　論理的な文章を読み、的確な日本語を用いて自身の考えを表現出来る。
思考・判断　自己表現を確立することが出来る。
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】明治から大正へ(1)ー１９１０年代の文学ー大逆事件と文学講義。この時期の文学および思想の現実を考えてみるとき、「大逆事件」の与えて影響は計り知れない。今回は、国家権力と文学の問題について考究する。学生の意見発表。石川啄木『ローマ字日記』、永井荷風『花火』を読了しておくこと。９０分
【2】明治から大正へ（２）ー夏目漱石の場合��夏目漱石の「後期３部作」を中心に講義する。「彼岸過迄」「行人」を読了しておくこと。１２０分。
【3】明治から大正へ（３）ー夏目漱石の場合��夏目漱石の「後期３部作」を中心に講義する。「こゝろ」を読了しておくこと。１００分。
【4】「明治の精神」という発想ー漱石と鷗外夏目漱石「こゝろ」を中心にしながら、森鷗外の在り方について講義する。「護持院原の敵討」「興津弥五右衛門の遺書」「阿部一族」を読了しておくこと。１２０分。
【5】明治から大正へ（４）ー森鷗外の場合��森鷗外の歴史小説について講義する。「大塩平八郎」「堺事件」を読了しておくこと。１００分。
【6】明治から大正へ（５）ー森鷗外の場合��森鷗外の史伝について講義する。「澁江抽斎」を読了しておくこと。１２０分。
【7】社会と個人（２）ー夏目漱石の場合��夏目漱石「明暗」について講義する。「明暗」を読了しておくこと。１８０分。
【8】〈内面〉化する個人ー志賀直哉志賀直哉の〈心境小説〉について講義する。「城の崎にて」を読了しておくこと。４５分。
【9】〈私小説〉という装置ー廣津和郎、葛西善蔵、宇野浩二大正期に大きな〈現象〉として顕れた「私小説」について講義する。葛西善蔵「子をつれて」、宇野浩二「苦の世界」を読了しておくこと。１２０分。
【10】社会と個人（３）ー「白樺派」が齎したもの社会の安定化は個人の〈内面〉化を齎すことになるが、その普及には白樺派の影響は大きい。今回は、武者小路実篤、柳宗悦について考察する。武者小路実篤「友情」を読了しておくこと。６０分。
【11】社会と個人（４）ー有島武郎という存在有島武郎「或る女」を中心にしながら、彼の〈思想〉について考察する。有島武郎「或る女」を読了しておくこと。１２０分。
【12】詩歌の時代ー萩原朔太郎と室生犀星近代詩の代表的な存在である萩原朔太郎と室生犀星の詩について考察する。谷崎潤一郎「痴人の愛」を読了しておくこと。９０分。
【13】社会と個人（５）ー谷崎潤一郎の大正谷崎潤一郎「痴人の愛」を中心にしながら、「大正」という時代の〈個人〉について考える。佐藤春夫「田園の憂鬱」、「都会の憂鬱」を読了しておくこと。１２０分。
【14】社会と個人（６）ー佐藤春夫の感性佐藤春夫「田園の憂鬱」「都会の憂鬱」を中心にしながら、その感性の在り方を考える。田山花袋「時は過ぎゆく」「一兵卒の銃殺」、島崎藤村「新生」、徳田秋聲「あらくれ」を読了しておくこと。２４０分。
【15】自然主義の成熟ー花袋・藤村・秋声自然主義は「大正」に本格的な成熟を遂げる。その稀有な達成について考究する。志賀直哉「暗夜行路」を読了しておくこと。１８０分。
【16】社会と個人（７）ー志賀直哉の存在「文壇」の一つの権威と化した志賀直哉について考える。西田幾多郎「善の研究」を読了しておくこと。１２０分。
【17】補講１　大正から昭和へ（1）ー大正教養主義と西田幾多郎大正期における文学と思想との関係性について考える。柳田國男「遠野物語」、折口信夫「死者の書」を読了しておくこと。１８０分。
【18】補講２　大正から昭和へ（2）ー日本民俗学の成立へ文学と民俗学、一見、異なる領域のものに見えるが、日本近代文学にとって、この問題は未だに全貌すら明らかになっていない大問題である。その一端を考える。柳田國男「遠野物語」、折口信夫「死者の書」を読了しておくこと。併せて南方熊楠について知見を得ておくこと。１８０分。
評価方法
基本的には期末に実施するレポート（８０％）、随時実施する教場レポートの内容やその提出状況も（２０％）によってに評価する。試験及びレポートの講評等は印刷物において各自に配布する。
教科書
本年度は日本文学史Ａ�兇濃藩僂靴紳腟彿檗�高橋編『現代日本文学史』（笠間書院　１８９０円）を用いるが、具体的な資料としてのプリントも配布する。
参考図書
その都度指示する。
備考
日本文学史Ａ�兇鯆姐屬靴審慇犬蓮�引き続き受講することが望ましい。また日本文学購読Ｃ�気畔擦擦銅�講すると学修効果が高まる。授業内容程の関係から補講を実施する（日程は別途指示）。オフィスアワーは木曜日１３時５分から１３時５０分。　科目コードは4ANB106L 研究棟(7号館)6階研究室。実務経験なし。