徳島文理大学

Webシラバスシステム

TOP 戻る
徳島文理大学短期大学部

【科目名】    薬理ゲノミクス (Pharmacogenomics)

科目番号11809担当教員名原 貴史単位2単位
科目群専門必修・選択選択開講期後期 対象年次1・2年
授業概要
 生体の恒常性維持のために、組織や細胞レベルでは、様々な分子を介した相互コミュニケーションが行われている。細胞膜受容体は、組織間や細胞間の相互コミュニケーションを担う生体分子の一つであり、これまでに様々な疾患との関連が明らかにされている。細胞膜受容体の生理機能の発揮には、受容体に特異的な生体内リガンドの結合と、下流のシグナル分子の活性化という過程が必要であり、この過程が障害されると、疾患の発症や病態の悪化に繋がる。従って、受容体に特異的に結合し機能を調節する化合物は、医薬品のシーズや薬理学的ツールとして利用され、現在臨床で使用されている医薬品にも細胞膜受容体を標的するものが数多く存在する。
 他方、細胞膜受容体は今なお魅力的な治療標的と考えられており、創薬に向けた精力的な研究が展開されている。近年のゲノム情報を始めとする公共データベースの充実により、これらの情報が、受容体タンパク質の機能解析や、特異的リガンドの効率的な探索のために利用されており、これまでの古典的な薬理学的アプローチに加えて、いわゆるゲノム情報を用いた薬理ゲノミクス的な創薬アプローチとして展開されている。
 本講義では、最初に細胞膜受容体とシグナル伝達について概論し、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)、受容体タンパク質の病態メカニズムとの関わり、公共データベースからの遺伝子情報やタンパク質構造情報の取得、化合物スクリーニングのin vitro、in silicoアプローチなどのゲノム薬理学的な創薬アプローチの基本的なプロセスについて解説する。さらに、シグナル伝達の異常に起因する疾患や治療薬についての最新情報と、それらの研究動向についても議論する。
到達目標
【養成したい人材像と履修目標】
 医薬品の薬理作用の理解に欠かせない受容体やシグナル伝達の分野において、病態メカニズムや細胞の機能に関連する基本的な知識を理解すると共に、データベースから遺伝子やタンパク質の発現情報を扱いながら、創薬への理解や応用に繋がる学問領域を学習する。さらに、学んだ知識を専門研究に取り入れて、将来的に国際的な活躍が期待できる人材の育成を目指す。
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】受容体受容体薬理学の概要 
【2】シグナル伝達受容体と細胞内シグナル伝達の概要 
【3】GPCRとシグナル伝達1Gタンパク質共役型受容体とシグナル伝達について 
【4】GPCRとシグナル伝達2Gタンパク質共役型受容体とシグナル伝達について 
【5】遺伝子データベース1遺伝子データベースの概要について 
【6】遺伝子データベース2遺伝子データベースの検索と情報の取得について 
【7】遺伝子データベース3遺伝子データベースの検索と情報の取得について 
【8】化合物スクリーニング1化合物スクリーニングの概要について 
【9】化合物スクリーニング2化合物スクリーニング系構築と実際 
【10】受容体タンパク質の構造受容体タンパク質の構造情報と実例についての概要 
【11】In silicoアプローチIn silico手法を用いたリガンド探索について 
【12】薬理ゲノミクス1脂質をリガンドとする受容体と薬 
【13】薬理ゲノミクス2脂質をリガンドとする受容体と薬 
【14】総括1受容体の最近のトピックスと展望 
【15】総括2受容体の最近のトピックスと展望 
評価方法
課題レポート(100%)
教科書
適宜・英語論文
参考図書
適宜・英語論文
備考
集中講義形式