徳島文理大学

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徳島文理大学短期大学部

【科目名】    日本文学講読Ｃ��

科目番号30456担当教員名上田　穂積単位2単位
科目群専門必修・選択選択開講期後期 対象年次2年〜
授業概要
(授業目的・方針 等)

現代文学の諸相について考察する。今回は、「高度経済成長期」における文学の問題を踏まえながら、大江健三郎、古井由吉、中上健次、村上春樹を中心に現代社会における文学現象について考察する。
到達目標
本講義の到達目標は、ただ歴史的な時間の中で文学上の問題を、その経緯から追うのではなく、背景になった時代状況や文化的状況を可能な限り再現し、過去の文学遺産を読むことの愉しさを学生の目の前で実践する。いうなら、この時間を知識と体験の〈場〉として構築し、感想文的にではなく、学問として、論理的・倫理的な思考過程を養成する。また、いまを生き抜いていく人間力の在り方を考え、体得出来るようになる。
授業計画授業形態授業時間外学習
【1】〈いまーここ〉という時代(1)講義。「いま」と簡単に言うが、「いま」とは一体どのような時代なのだろうか。わたくしたちはどんな時代を生き、その空気を理解しているのかを考察する。『ＡＫＢ48白熱論争』（幻冬舎新書）を熟読してくること。なお、このほかに見田宗介『現代社会の理論』（岩波新書）、大澤真幸『不可能性の時代』（岩波新書）、『虚構の時代の果て』（ちくま学芸文庫）、東浩紀『動物課化するポストモダン』、『ゲーム的リアリズムの誕生』（いずれも講談社現代新書）、宇野常寛『ゼロ年代の想像力』（ハヤカワ文庫）、『リトル・ピープルの時』代（幻冬舎）を絶対に読了しておいて欲しい。なぜなら、これらの本の内容に知悉していないと、そもそも現代日本の社会に関しては考える基本が出来ないからである。
【2】〈いまーここ〉という時代(2)いま」と簡単に言うが、「いま」とは一体どのような時代なのだろうか。わたくしたちはどんな時代を生き、その空気を理解しているのかを考察する。『ＡＫＢ48白熱論争』（幻冬舎新書）を熟読してくること。なお、このほかに見田宗介『現代社会の理論』（岩波新書）、大澤真幸『不可能性の時代』（岩波新書）、『虚構の時代の果て』（ちくま学芸文庫）、東浩紀『動物課化するポストモダン』、『ゲーム的リアリズムの誕生』（いずれも講談社現代新書）、宇野常寛『ゼロ年代の想像力』（ハヤカワ文庫）、『リトル・ピープルの時』代（幻冬舎）を絶対に読了しておいて欲しい。なぜなら、これらの本の内容に知悉していないと、そもそも現代日本の社会に関しては考える基本が出来ないからである。
【3】〈いまーここ〉の起源(1)ー「第三の新人」の文学それでは〈いまーここ〉という時代の始まりはいつだったのだろうか。その有力な起源として、６０年代という考え方がある。今回は、なぜそのように考えられるのか。「第三の新人」の文学を素材に考察する。安岡章太郎『海辺の光景』を読了しておくこと。
【4】〈いまーここ〉の起源(2）ー大江健三郎の文学それでは〈いまーここ〉という時代の始まりはいつだったのだろうか。その有力な起源として、６０年代という考え方がある。今回は、なぜそのように考えられるのか。大江健三郎の初期テクストを素材に考察する。大江健三郎『奇妙な仕事』、『死者の奢り』、『飼育』を読了しておくこと。
【5】〈いまーここ〉の起源(3)ー松本清張の文学それでは〈いまーここ〉という時代の始まりはいつだったのだろうか。その有力な起源として、６０年代という考え方がある。今回は、なぜそのように考えられるのか。松本清張の初期作品を素材に考察する。松本清張『黒い画集』に収められている諸篇を読了しておくこと。
【6】６０年安保から「１９６８年」へ(1)ー柴田翔と庄司薫６０年代に始まった新しい社会構造は日本人の感性に大きな変革をもたらした。なにがいったい変わったというのだろうか。そのことも含めて、７０年代に向けて高度経済成長していく中で日本人が何を考えていたのかを考察する。スガ秀実『１９６８年』（ちくま新書）、柴田翔『されどわれらが日々』、庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』を読了しておくこと。
【7】６０年安保から「１９６８年」へ(2)ー立松和平、三田誠広、村上龍、桐山襲など６０年代に始まった新しい社会構造は日本人の感性に大きな変革をもたらした。なにがいったい変わったというのだろうか。そのことも含めて、７０年代に向けて高度経済成長していく中で日本人が何を考えていたのかを考察する。三田誠広『僕って何』を読んでおくこと。村上春樹の初期３部作『風の歌を聴け』『１９７３年のピーンボール』『羊をめぐる冒険』を読了しておくこと。
【8】６０年安保から「１９６８年」へ(3)ー大江健三郎『万延元年のフットボール』６０年代に始まった新しい社会構造は日本人の感性に大きな変革をもたらした。なにがいったい変わったというのだろうか。そのことも含めて、７０年代に向けて高度経済成長していく中で日本人が何を考えていたのかを考察する。大江健三郎『万延元年のフットボール』を読了しておくこと。村上春樹の初期３部作『風の歌を聴け』『１９７３年のピーンボール』『羊をめぐる冒険』を読了しておくこと
【9】村上春樹における現代ー『風の歌を聴け』１９７９年にデビューする村上春樹の文学とは何かを考える。田中康夫『なんとなくクリスタル』を読了しておくこと。村上春樹の初期３部作『風の歌を聴け』『１９７３年のピーンボール』『羊をめぐる冒険』を読了しておくこと
【10】中上健次における現代ー『１９歳の地図』他現代文学の巨人のひとり、中上健次の文学について考察する。村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』を読了すること。
【11】古井由吉における現代ー『雪の下の蟹』「内向の世代」の旗手である古井由吉の文学について考究する。村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』を読了すること。
【12】村上春樹の現実(1)ー『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』村上春樹の構築する〈世界〉とは何かを考える。村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』を読了すること。
【13】村上春樹の現実(2)ー『ねじまき鳥クロニクル』から『アンダーグラウンド』へ村上春樹の構築する〈世界〉とは何かを考える。村上春樹『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』を読了すること。
【14】中上健次の現実ー『枯木灘』中上健次が創出した「路地」について、大江の「四国の森」、春樹の世界観と比較対照しながら考察する。中上健次『枯木灘』を読了すること。
【15】大江健三郎の現実ー『懐かしき年への手紙』大江の最高傑作『懐かしき年への手紙』を熟読し、彼の構築したサーガについて考究する。大江健三郎『懐かしき年への手紙』を読了しておくこと。
【16】ふたたび〈いまーここ〉ということー円城塔と黒田夏子現代文学の諸問題について再考する。円城塔『道化師の蝶』と黒田夏子『ａｂさんご』を熟読してくること。
評価方法
基本的には期末に実施するレポートと出席によって総合的に判断するが、随時実施する教場レポートの内容やその提出状況も積極的に評価する。また、シラバスで紹介してある書物や作品を積極的に読了しておくことが大切である。ごく一部のものを除いて文庫・新書で通読可能なものなので務めて読んでおくこと。授業中、未読や無関心な現実を発見した場合は、大幅な減点処置を行う場合があることを肝に銘じておくこと。
教科書
本年度は日本文学史Ａ�兇濃藩僂靴紳腟彿檗�高橋編『現代日本文学史』（笠間書院　１８９０円）を用いるが、具体的な資料としてのプリントも配布する。
参考図書
そのつど指示する。
備考
日本文学史Ａ�兇泙燭脇�本文学講読Ｃ�気鯆姐屬靴審慇犬�、引き続き受講することが望ましい。授業内容と日程の関係から補講を実施する場合がある。オフィスアワー金曜日の９時５分から９時５０分。